【伝説の猫/マイケル】第3章/保健所

query_builder 2024/10/18
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前回に続き、完全スルー推奨のノンフィクション物語


【伝説の猫/マイケル】第3章/保健所


前回はすっかり団地に慣れたマイケルと近所の毒おばさん

とのバトルを書かせていただきました。


その際に団地の偉い人からも目をつけられたマイケルでしたが


うちの兄の影響もあってか、しばらく平穏な時が流れました。


マイケルは団地内の道路に大の字で寝て

通りかかる人に愛想をふりまき、すっかり団地の人気者になってました。

しかも賢い事に、私たち家族以外の人からご飯をもらっても決して食べようとせず、

前回の毒盛られ事件を教訓としてるようでした。



あるとき私が家の中で添い寝してきたマイケルに


『猫なんだから獲物くらい獲ってきたら?』


と冗談交じりに言ってみたのです。


「にゃあ」


『トカゲは母ちゃんに怒られるから駄目だよ』


「にゃあ」


当然この会話が成立しているとも本気では思ってなかった小学生の私はマイケルを撫でながらまたスヤスヤ寝てました。


その三日後ほどの学校帰り、うちに帰った私は

いつものテーブルの上にお皿が置いてあり、

そのお皿の上にティッシュがのってました。

兄が「おやつ」か何かを載せて更にティッシュをのせて

残しているのかな?と思い込んでたんです。


勝手に食べたらどんな仕打ちにあうか恐れた私は

【触らぬ神になんちゃらー】

の精神が子どもながらに身についていたのですが

興味も沸いていて「何を食べてたのかだけでも見たい」という

好奇心からティッシュをつまんでお皿の上を確認したのです。


そこには2,30㎝程のネズミのような死骸が載ってました


『ぎゃああああああああ!!!』


びっくりしすぎてお皿ごと下に落としたのですが


兄のだとしたら怒られる!と咄嗟に思った私は(おぃおぃ)


尻尾をつまんで持ちあげてみました。まじまじと見ると

眼が見当たらない。ん???顔の口らへんが見たことない形状…

とても気持ち悪い感情と「なんだこれは??」という好奇心

から久しぶりに動物図鑑を読み返す。


これはどうやら【モグラ】だぞ…?

はじめて見たけどなんでモグラが?兄が食べる訳もないし…


一応丁寧にお皿に戻した私はモグラの体に二つの穴が開いてることに気づきました。

そこでハッとした私は

『マイケルか!!』

ベランダの外を気持ちよさそうに見ながら昼寝していたマイケルは「ん?」といったような反応でこっちに近づいてきてスリスリしてきました。

『獲物獲ってこいって言ったから獲ってきたのか!?すごいじゃん!』

どうだい、これくらい朝飯前だニャン といった得意げな顔で

私に褒めてほめて~といった具合で絡みついてくる。


この頃の私はこんな経験もあり

本当にマイケルと兄弟のように心を通わせていました。


えぇもちろんその日の夜中は私同様

お皿の上のティッシュを外した母ちゃんが


『ぎゃああああああああああああああああぁぁあぁぁぁ』


と恐ろしいくらいの悲鳴をあげて

マイケルを褒めるどころか追いかけまわして


「捨ててやるっ!こんな猫捨ててやるっ!」


となり、マイケルは母ちゃんの手の届かないタンスの上に避難し「何騒いでんだよ、あぁめんどくさい」的な顔で母ちゃんの狼狽した姿を眺めていました。


そして翌日にはいつものように可愛がり

「獲物獲ってくるなんて凄いけど、怖いから二度と持ってこないでよ」「にゃあ」とマイケルと母は仲直りしてました。



うちの団地には私の住んでいた棟以外にも数棟の建物があり、

団地全体でいうと、マイケルを除いても10頭近くの野良猫が住みついてました。マイケルの居るうちの棟に他の猫が来てるのを当時見たことはなかったのですが、やはり団地の偉い人たちは幾度となく会議をひらき、団地に住みつく野良猫の駆除をどうするか相談していたようでした。


ある日偉い人の一人が私に話しかけてきました。


「いつもこの辺にいる茶トラの子もそうなんだけど、可哀想だけど今週の日曜日に保健所が来て団地に住みつく全部の猫を連れて行ってもらうからね」


そんなことを言ってきました。

たぶん小学生の私が動揺して「うちの猫は連れて行かないで!」とかいうならウチが猫を飼っている証拠にもなるし、猫も駆除できて追い出す事ができると思ったのでしょう。


私は母にもよく言われていたので

「なんで僕にいうの?猫なんていなくなればいいじゃん」

と偉い人に言ってやりました。


面食らった顔した偉い人は

「いいの?可愛い猫ちゃん殺されるんだよ?」

とか言ってきて

「いいよ、野良猫は畑にオシッコするから迷惑だって母ちゃん言ってたし」

そんな返しを聞いた偉い人は「じゃあ連れてってもらうからね!」と言い残し去っていきました。


『あの人日曜日って言ってたし、その日はマイケルを部屋から出さないようにしよう』


もちろん母にも伝えて出さない様にしないとね~と会話したのを覚えてます。


そして日曜日…

私は団地の4階から外を眺めて保健所が来てるのを確認しました。

青い大きな網を持った作業服を着たおじさん達が数人。

すでに何匹か捕まえたのか、いたる所で

「ギャア!」「ビャア!」といった猫の悲鳴が聞こえてきました。

すると4階から下を覗いていた私の足元をスルッと駆け抜ける茶色い物体。私は一瞬の出来事に「???」となってしまい、また下を覗いてました。

「出てった!」と母の声がして「え?」となる私。

下をウロウロしている作業服の悪魔たち

(私にはそう見えてました)

の横を駆け抜けるマイケル。


「こっちに茶色いのいるぞ!」

「そっちにいったぞ!」


マイケルは一斉に逃げる他の野良猫たちの所に行き

先導して作業服の悪魔たちを避けては他の猫たちが逃げれるようにしている様子でした。

いつの間にかマイケルは団地全体のリーダー的存在になっていたようです。



何もできない私と母は「怖い怖い」という思いで下を覗くのが精いっぱいでした。


次々と捕まっていく野良猫たち…


当時うちの棟の真横には4階以上の巨大な松の木が植えてありました。

マイケルは他の野良猫数匹を団地外に引き連れていき、

また戻ってきて作業服の悪魔たちを自分に引きつけ、その巨大な松の木を必死に登り、4階の私たちの目線まで登ってしがみついてました。


作業服の悪魔たちは全員で松の木を蹴ったり、揺さぶろうとしたりしてましたが、巨木はビクともしませんでした。

結構大きな脚立やハシゴを松の木に立てかけてマイケルを下ろそうと色々してました。

「おりてこい!」「ほらほらご飯だよ~」

本当に腹が立ちましたが、そんな悪魔たちの行動をよそに一向にしがみついて離れないマイケル。


私も母も『どうかマイケルが捕まりませんように』と祈る事しかできませんでした。


そのうち作業服の悪魔の一番偉そうな人が団地の偉そうな人を呼び、下で話し合いをしだしました。

松の木の下からマイケルまでの距離はだいぶあるけど

私たちが見ている4階からマイケルのしがみついているところまでは直線距離で5mとちょっとくらいの距離だったので

長い竿をもった悪魔と団地の偉い人が私たちの元まで登ってきました。


「こんなにてこずったことは今まで無いですよ」

作業服の悪魔が舌打ちしながら私たちに言ってくる。

「お宅の猫じゃないんですから、ここから殺虫剤を撒いて猫を落としますね」

イライラしている団地の偉い人


『好きにしたらいいじゃない!弱いものいじめしかできない大の大人が!』泣きながら団地の偉い人と悪魔に抗議する母。

私は情けない事に泣く事しかできませんでした。


階段からスプレーの殺虫剤を撒く悪魔。

するとこちら側にいたマイケルはくるりと向きを変えて、反対側へ周り、薬品の届かない所へ逃げました。


「――――――っ‼‼‼」

なんとも声にならないイライラな反応で悶える悪魔たち。


すると向かいの団地から

「〇〇さん‼(偉い人の名前)あんたたち今、殺虫剤を撒かれました?非常に臭くて迷惑なんですけど‼」

と怒鳴っている住人の声が。


偉い人は「すみません、すみません!💦」と焦りだし

下でマイケルを捕獲しようとしている他の悪魔たちも

「もうその猫以外あらかた捕獲できたんで潮時じゃないですか?」とか言い出しました。


悪魔の偉い人と団地の偉い人がブツブツ言いながら下へ降りていき、団地の偉い人は改めて苦情を言ってきた人にペコペコ謝り倒してました。


そして…作業服の悪魔たちは荷物をまとめて帰っていき、

団地の偉い人も苦情を言った住人へペコペコしながら帰っていきました。


うちの母も『よかったぁあ』と泣き崩れてました。


当のマイケルですが、どうやら危機が去ったことは理解できたようで、私たち側までまた移動してきたのですが、怖くなったのか「にゃあにゃあ」鳴きだし、こっちの階段までジャンプしようかソワソワしだしました。私は慌てて松の木の根本まで降りて遥か上に居るマイケルに『ジャンプしないで降りておいで~』と声を掛け続けました。


ちょっとづつ降りてくるマイケル。

数分ごとに数センチほど爪を必死に出してズル…ズル…と降りてくる。団地の2階ほどまで降りてきたマイケルは限界だったのか私の顔を真剣に見ながら飛び降りました。


私は必死でマイケルを受け止め、抱き合いながら転んでしまいましたが、私の胸の中でブルブル震えてしばらく怯えたような症状でした。

松の木にしがみついて5時間以上経っていたので、体力も限界だったのでしょう、それから数日うちの中でぐったりと寝て、一度も外へは出ませんでした。


その後団地の偉い人は

「その茶色い子は団地のみんなに愛されてるみたいだから面倒みてあげてね」と私に言ってきましたが


『うちの猫じゃないから知らないよ!殺虫剤を撒くおじさん!』


『そうだったね、ごめんね』苦笑いする偉い人


私のできる精いっぱいの抵抗でした。


それから私の知る限りでは団地に保健所がきたことは無かったし、野良猫たちもマイケルが逃がした子を中心にまた増えていき結構な数の野良猫がいました。

数年後には団地の横に土建屋さんが建ち、そこの人たちにマイケル以外の野良猫たちはお世話になっていたようでした。


今回のお話はこの辺りで。

次回4章は

【帰ってきた親父とマイケル】です。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。

拙い文章で失礼いたしました。



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